保育園の実態を取材したルポ「ブラック化する保育」(かもがわ出版)を関西の元認可保育園長、大川えみるさん(ペンネーム)が出版しました。現場をよく知る立場から、保育士は子どもの成長を支えるやりがいのある仕事ですが、低賃金で労働時間が長く、働き続けるのが難しいと訴えます。大川さんは「過重な労働負担が、事故の増加や保育士の質の低下につながっている」と話します。

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 △出典:楽天ブックス

 執筆のきっかけは、保育士を養成する短大で講師を務めていたとき、いくつかの保育園から「どんな人でもいい、資格のある人を紹介して」と要望されたことです。「待遇の悪さが人手不足を招き、さらに保育士の質の低下まで招きかねない。負の連鎖が起きている」と危機感を抱きました。実態を多くの人に知ってほしいと、これまでの人脈を生かして全国の保育園を取材し、約1年かけて完成させました。

 著書では、絶えない保育施設での事故の例を紹介し、その背景に息つく間もない忙しさがあると指摘します。保育士のある一日も紹介。子どもとの遊びを通じて体調や発達を確認し、昼寝時間には日誌書きや呼吸チェック、掃除などをこなします。教材や行事の準備など時間内に終わらないことも多く、サービス残業が当たり前。近年、対応の難しい保護者などもいて、保育士の仕事は増加しているといいます。

 一方、賃金は全産業比の6〜7割と低い。休みにくく、結婚・出産で退職する人も多数。保育園側は求人広告を出しても人が集まらない状況があり、質の低下が心配されます。

 大川さんは、インターネットの署名サイトで、保育士の月給5万円増を求める活動もしています。「一人一人の子どもを大切にすることと、保育者を大切にすることはつながっている。国はきちんとコストをかける必要がある」。

定価1,500円。

問い合わせは、かもがわ出版(075-432-2868)